R.I.P 2016 –今年旅立ったアーティスト達-

 

 2016年も後僅か。今年ほど、訃報を衝撃を持って聞いた年も珍しい。

 時代の流れにカメレオンのように変化し続けたロック・スター、アメリカン・ロックのシンボル的バンドのリーダー、時代を創ったサウンド・プロデューサー、プログレッシヴ・ロックのレジェンド、生前退位もせずそのまま逝ってしまった王子、ワールド・ミュージックを知らしめた男、ファンク・ムーヴメントの重鎮、ロックンロール創世記の伝説的ギタリスト、バブル・サウンドの象徴、偉大なる詩人、南部ロックのキー・マン、元祖英国の国民的バンドのギタリスト、そして80年代アイドルからブルー・アイド・ソウルに変身したシンガー等。シーンに多大な影響を与えたアーティスト、ミュージシャン達が今年一気に旅立ってしまった。

 近年、ビートルズ登場以降、また70年代から活躍しているアーティスト、ミュージシャンが続々と旅立つようになった。ロック・ミュージックを聴き始めた頃、この人達がこの世からいなくなる事など想像もつかなかった。今年は特にそう感じたリスナーの方が多かったのではないだろうか?

 

 「長生きしたいならローリング・ストーンズのメンバーになる事だ」

 

 ローリング・ストーンズのキース・リチャーズが以前インタビューで言った名言だ。そんな彼も、かつては最も死に近いロック・スター・ランキングで毎年1位を続けていた。キースは先日73歳になり、盟友ミック・ジャガーと共に未だ健在だ。だが、人の生命も永遠では無い。いつかローリング・ストーンズにも”その日”が来る事をある程度覚悟したほうが良さそうだ。

 

 ロックンロール創世期の伝説的ラジオDJ、アラン・フリードが全米のティーン・エイジャーに向け、初めて「ロックンロール!」と叫びながらレコードを掛け始めてから既に60年以上経過している。ブルースを源流として誕生したロックンロール・ミュージックは還暦をとっくに超えているのだ。

 歴史を紐解くと、人の生命と同様、時代毎の文化にも永遠というモノは無い。もしかしたら我々が今、生きている時代としての文化であるロックンロール、ポップ・ミュージックはリセットに向かっているのではないか。どうも20世紀末から続いてきた”ロックの時代の終焉”が近付いているように思えてならないのだ。そう考えると、今年の最後にリヴィング・レジェンドと呼ばれて久しいロックンロール・バンドによって放たれた、先祖還り的なブルース・アルバムが世界中でヒットしている現状は、ロック・ミュージックが文化として行き詰った、ある種の閉塞感を感じずにはいられない。

 

 今年旅立った主な洋楽のミュージシャン、アーティスト、及び関係者の命日、享年を以下に記す(12/28時点)。

 

ポール・ブレイ(ジャズ・ピアニスト) 1月3日 84歳

オーティス・クレイ(ソウル・シンガー) 1月8日 73歳

デヴィッド・ボウイ 1月10日 69歳

グレン・フライ(イーグルス) 1月18日 67歳

ポール・カントナー(ジェファーソン・エア・プレイン) 1月28日 74歳

モーリス・ホワイト(アース・ウィンド・アンド・ファイアー) 2月3日 74歳

ジョージ・マーティン(ビートルズのプロデューサー) 3月8日 90歳

キース・エマーソン(EL&P) 3月10日 71歳

ガトー・バルビエリ(ジャズ・テナー・サクソフォーン) 4月2日 83歳

マール・ハガード(カントリー・シンガー) 4月6日 79歳

プリンス 4月21日 57歳

ビリー・ポール(ソウル・シンガー) 4月24日 81歳

パパ・ウェンバ(コンゴ・ルンバ/リンガラ・ポップ) 4月24日 66歳

ニック・メンザ(ex.メガデス) 5月24日 51歳

クリスティーナ・グリミー(シンガー・ソングライター) 6月10日 22歳

ラルフ・スタンレー(スタンレー・ブラザーズ) 6月23日 89歳

バーニー・ウォーレル(ファンカデリック/パーラメント) 6月24日 72歳

スコッティ・ムーア(エルヴィス・プレスリーのギタリスト) 6月28日 84歳

マーニ・ニクソン(ハリウッド映画のゴースト・シンガー) 7月24日 86歳

ボビー・ハッチャーソン(ジャズ・ヴィブラフォン) 8月15日 75歳

トゥーツ・シールマンス(ジャズ・ハーモニカ) 8月22日 94歳

フアン・ガブリエル(ラテン・シンガー) 8月28日 66歳

ロッド・テンパートン(マイケル・ジャクソンのソングライター/プロデューサー) 10月6日 66歳

ピート・バーンズ(デッド・オア・アライヴ) 10月23日 57歳

ボビー・ヴィー(ロカビリー・シンガー) 10月24日 73歳

バップ・ケネディ(アイリッシュ・シンガー・ソングライター) 11月1日 54歳

レナード・コーエン 11月7日 82歳

ヴィクター・ベイリー(ウェザー・リポート/ベーシスト) 11月11日 56歳

レオン・ラッセル 11月13日 74歳

デイビット・マンカソ(ラジオDJ/リズム&ブルースを全米に普及) 11月14日 72歳

モーズ・アリソン(ジャズ・ピアニスト) 11月15日 89歳

グレッグ・レイク(キング・クリムゾン/EL&P/エイジア) 12月7日 69歳

リック・パーフィット(ステイタス・クォー) 12月24日 68歳

ジョージ・マイケル(元ワム!) 12月25日 53歳

アルフォンス・ムザーン(ウェザー・リポート他/ジャズ・ドラマー) 12月26日 68歳
ピエール・バルー(シンガー・ソングライター) 12月28日 82歳

 

 

 その名前を見れば、そのサウンドに衝撃を受けた瞬間、その時に感じた空気や風景、そしてその時代、リスナーのアーティストに対しての想い出が胸に去来する事だろう。その想い出は千変万化敢えて筆者より細かく文章にする必要はないと思い、故人の名前を列挙するだけに留めておく。

 

 しかし肉体は滅んでも彼等の作品は残った。幸いにも我々はその音、映像を見聴きする事によって、旅立っていったアーティストのスピリッツを忘れる事なく後世に残す事ができる。そして新たなフォロワーと”次の時代”の音楽が必ず産まれてくるだろう。 

 改めてご冥福をお祈り致します。

 

 

 来年2017年、果たしてどんな年になるのか想像もつかない異常な時代ですが、皆さん、良いお年をお迎えください。

『Rock music column』来年もよろしくお願い致します。

 

Text by 金子ヒロム